俺ガイル 解説

注 ネタバレ満載です。俺ガイル、10巻をこえたのでそろそろまとめてみようかなと思ってつくりました。

雪ノ下陽乃の登場シーンまとめ 7巻~10巻

 

oregairu.hatenablog.jp

これの続きです。

 

7巻の本編では、陽乃は出てきません。
修学旅行での戸部と海老名さんとの関係でした。

その後のおまけパートの、文化祭後の後夜祭から陽乃登場。

ストーリーには直接関係しませんが、
八幡にちょっかいを出す陽乃

もんじゃやきを、あーんしてくる陽乃とその周り

「まぁまぁ、いいじゃない。比企谷くん、頑張ってたんだし、
 これくらいはしてあげてもいいと思うよ。はい、比企谷くん、あーん」
【断っても断っても攻めてくるんですけどこの人。
 柔らかくていい匂いで困っちゃ、あ、ちょ、太もも触らないで、・・・・・・あふっ。】

八幡、弄ばれてます笑
そして、陽乃と小町を組み合わせると面倒なことになるということに気がつき始めた八幡。

兄弟の面倒見が良い二人だからこそ、共感点が似ているんでしょう。

 「あ、でもお姉さんの立場から言わせてもらうと、
 趣味はあったほうがいいと思うよ?」
「比企谷君はこれから先も一人寂しく生きていくんでしょう?
 だったら打ち込む趣味くらいあったほうがいいと思うよ」

 八幡をだんだんと貶めるようになっていく陽乃、
リア充という一般的でつまらない人と八幡が違うから、
からかい甲斐があるんでしょう。

 

修学旅行で、戸部と海老名さんの依頼を八幡がこなして、
雪ノ下と由比ヶ浜と、微妙な空気になったあと。
偶然、カフェで八幡と陽乃が出くわす(第8巻)

雪ノ下が実家にお土産を宅配便で届けたことに対して、陽乃の意見。
「嫌いだけど、嫌われたくはないのよね・・・・・・」

これは陽乃に対して?あるいは母親?
まだ、雪ノ下の心境は不明です・・・

 

そして、初登場、折本かおり。
折本とその友達が、陽乃と比企谷のペアを見つけて声をかけてきて、
話の流れで葉山を陽乃が紹介することになりました。

葉山は陽乃のことを
「あの人は興味がないものにはちょっかい出したりしないよ。
 ・・・・・・何もしないんだ。
 好きなものをかまいすぎて殺すか、嫌いなものを徹底的につぶすことしかしない」
そう評しました。

葉山は、陽乃に興味を持たれなかった、ということと思います。
そして、雪ノ下には興味があって、かまいすぎて殺してると言っているのでしょう。

 

折本とその友達が、葉山をデートに誘ったことを知り、
陽乃が八幡と電話することになったとき。
「『君はまるで理性の化け物だね』」
「なんすか、それ。そんなんじゃないですよ」
「『そっか。じゃあ、自意識の化け物だ』」

 

「『隼人が人に頭下げて頼み事なんてしないよ、普通』」
「『頭は下げないでしょ。あれで結構プライド高いから』」
「『来ないと、家まで迎えに行っちゃうからね!』」

陽乃は年上だからか、
葉山のことも八幡のことも良く見て、独断の評価を持っているようですね。

 

葉山と八幡のダブルデート?
葉山が雪ノ下、由比ヶ浜を連れてきて、
折本と仲町に対して、八幡をみくびるなと諌める。
そして、折本と仲町を追い返したあとに登場する陽乃。
雪ノ下が葉山に生徒会長選に出て欲しいと依頼しようとしていたことを知って、
「雪乃ちゃんが生徒会長をやるんじゃないんだ。
 てっきりそうすると思ってたのに」
「そうやって誰かにやらせたり押し付けるの、
 お母さんそっくり」
「ま、雪乃ちゃんはそれでいいかもね。
 あなたは、何もやらなくていいんだもの。
 いつも誰かがやってくれるんだもんね?」

 その様子を見たあとの八幡の感想、

「『単なるちょっかいにしちゃ手間かけすぎでしょ』
 これまでも陽乃さんは何かと雪ノ下に構ってきた。
 だが、今日のはそれと一線を画する。
 挑発と呼ぶには生ぬるいほどの攻撃性がそこにはあった。
 その理由が気になって聞いたものの、
 陽乃さんは可愛らしく小首を捻ってとぼけて見せる。」

 

陽乃は、雪ノ下に何をやらされて押し付けられてきたんでしょうね、
家庭の事情で、表に立つ役割が陽乃というのは、母の方針と言っていたので、
雪ノ下に押し付けられたことじゃないですし・・・

今後の展開の、進路の話とも絡んできそうです。

 

 

結局、一色を生徒会長に仕立てあげた八幡、
その後、部室で雪ノ下、由比ヶ浜と微妙な、建前的な関係が続き、
八幡の『それでも俺は、、、本物が欲しい』
につながります。

意外なことに、この流れに陽乃はいっさい絡んでいません。
陽乃がしらないところで3人の関係性が変わったところです。

そして、3人でクリスマスイベントを乗り越えて、、、

 

正月、初詣の次の日、由比ヶ浜と八幡が、
雪ノ下の誕生日プレゼントを買いにいったところで、
葉山と陽乃がお茶してるところに遭遇します。

葉山、陽乃、雪ノ下の3人で過ごした日々を振り返ったあと、
陽乃がこぼした言葉
「あのころは二人とも可愛かったのになぁ・・・・・・。
 今は・・・・・・、なーんかつまんない」
「まぁ、でも今は比企谷くんがいるしね。比企谷くんを可愛がればいっか」

陽乃にとって、葉山も雪ノ下も、陽乃の想定外の思想や思考を持っていないと、
そう揶揄しているように見えます。

たまには私の真似以外のこともしてみなさい?って感じでしょうか。

 

そして、雪ノ下母親登場。
雪ノ下を家族の会に連れて行こうとしたとき、

「雪ノ下は唇を噛んで下を向き、そしてちらっとこちらに視線を向けてくる。
 いや、こっちを見られても・・・・・。
 それを陽乃さんが見咎めた。
 『雪乃ちゃん、ダメだよ』」

陽乃は、雪ノ下が八幡に対して、
「信頼とかじゃない、もっとひどいなにか」
を持っていることを咎めました。

「もっとひどいなにか」、とは、依存心なのか、当てのない信仰なのか、
気になるところです。

 

そして、葉山の進路を聞く物語に入っていきます。

進路相談会に陽乃が現れたことをきっかけに、
雪ノ下が陽乃に葉山の進路の心当たりを聞いてみたところ、

「隼人の進路?なんだ、そんなこと」
「何か知っているの?」
「さぁ?興味ないから聞いたことないわ。どうせ決まってるだろうし」
「・・・・・・だいたい雪乃ちゃんならわたしに聞かなくたってわかるでしょ」
「わかっていたら姉さんに聞いてないわ」
「自分でよく考えなさい」

「一人でやるようになったと思ったら、また昔みたいに人に頼る。
 小っちゃい頃はそれも可愛かったんだけどねー。」

 

雪ノ下は昔、姉に頼りきりだったんでしょうか。
困ったら視線を泳がせて、誰かを見てしまう雪ノ下、
その対象が陽乃だったのは想像がつきます。
そして、今は八幡にその対象が移行していて、
その状況を陽乃は咎めてるんでしょう。

『自分で』何かをしない雪ノ下の成長を願っているようにも見えます。

 

そして、進路相談会の帰り道、陽乃と八幡の会話で、葉山の話が出てきます。
八幡が葉山に進路を直接聞いてみたけれど、はぐらかされた話をしたところ、
「そっか。隼人も期待してたんだね」
「見つけてくれることを、かな」

葉山の心情も陽乃は理解しているようです、
昔、陽乃自身も通った道なのでしょうか?

10巻のふしぶしに、太宰治人間失格を読み進める葉山(と思われる)の心情が
記されています。
お道化を演じる人間未満の心情に、寄り添いつつも一致しないことに、
苛立ちと失望を感じている、そんな雰囲気。

 

・・・・・今思ったのですが、この手記、陽乃の手記な気がしてきました。
最後の文、陽乃のセイフにもありましたしね・・・
「本物なんて、あるのだろうか。」
おためごかしのお道化を演じているという意味で、
陽乃と葉山の心情は近しいところがあるのかもしれませんね。

 

10巻の終わり、
葉山の進路の問題が片付いたあと、陽乃が八幡を呼びつけてデートします。
雪ノ下との関係への警告をするためでしょう。

雪ノ下から進路を聞いたと八幡が言ったところ、

「比企谷くんにはちゃんと教えたんだ。へぇ・・・・・・。
 雪乃ちゃんにずいぶん信頼されているんだね」
「・・・・・・信頼っていうか、そういうんじゃないでしょ、あれは」
「なーんだ、自分でわかってるんだ」
「そう、あれは信頼とかじゃないの。・・・・・・もっとひどい何か」
「何も変わってない。
 それでいいと思っているのよねー、あの子は。
 そこがまぁ可愛い所でもあるんだけど・・・・・・
 そこがすごく気に入らない。」

 

「信頼じゃないなら、・・・・・・なんなんですかね」
「さぁ?ただ、少なくとも・・・・・・」
「それを本物とは呼ばない・・・・・・、君の言葉だったね」
「本物なんて、あるのかな・・・・・・」

10巻終わり。

 

雪ノ下の成長を中心に、物語が進んでいっているとしたら、
陽乃の役割は、雪ノ下の未来にはなり得ません。

八幡も、成長せずにどこまでやっていけるのか、
一方的な信頼の押し付けあいなんていう人間関係の欺瞞に耐え切れるのか。

本物の関係なんてないとわかっていながらも、
本物を望んでしまう、現実をまだ諦めていない青春、
美しいし、潔癖的な思想だと思います。

 

陽乃も、一つの理想を抱えた人間のようですし、
八幡、雪ノ下と共に成長するのだと思います。
11巻でまた、陽乃は大活躍しますが、それはまたのちほど。
今後の話の展開に期待します。