俺ガイル 解説

注 ネタバレ満載です。俺ガイル、10巻をこえたのでそろそろまとめてみようかなと思ってつくりました。

俺ガイル 10巻 1~5章まとめ

第1章 「とうとう、比企谷小町は神頼みをする。」

小町が受験勉強で疲れていたので、初詣に誘う八幡。
小町が雪ノ下と由比ヶ浜を誘って、4人で初詣することになり、
雪ノ下の誕生日プレゼントを買いに行く約束を由比ヶ浜とする。
ただし、小町付き。
そして、由比ヶ浜は葉山・三浦組とご飯へ、
雪ノ下、八幡は帰宅。

 

第1章のポイント
由比ヶ浜と八幡のデートに小町が誘われたとき
「『んー。なんで後退してるんだろう・・・・・・。
  夏は二人で行ったのに・・・・・・」
 小町はそんなことを小声でぼやく。
 いや、ほら、いろいろあんのよ。こう、なんというか、
 いまいち距離感掴みかねるというか・・・・・・。」

 

 

第2章 「相変わらず、雪ノ下陽乃はかき乱してくる。」
雪ノ下のプレゼントを買うため、
由比ヶ浜と小町と3人で買い物に行く八幡。
買い物帰りに、陽乃と隼人とばったり。
八幡がいるとわかった瞬間に、雪ノ下は陽乃の前に立つことを決意します。
なんででしょうね?
雪ノ下が来た瞬間、葉山がちょっとやらかして、『雪乃ちゃん』と呼んでしまいます。
そして、雪ノ下母初登場。
雪ノ下母に、場をコントロールされながら、
八幡、由比ヶ浜がその場から退場。

第2章のポイント
雪ノ下が、雪ノ下母に家族会に参加するよう強制されたとき
「雪ノ下は唇を噛んで下を向き、そしてちらっとこちらに視線を向けてくる。
 いや、こっちを見られても・・・・・・。
 それを陽乃さんが見咎めた。
 『雪乃ちゃん、ダメだよ』
 冷たい瞳に愉快そうな感情が揺れる。
 獰猛な笑みを浮かべて厳しい調子で陽乃さんが言うと、
 雪ノ下の方がぴくと跳ねた。」

 

 

第3章 「いつの間にか、一色いろはは居座っている。」
進路の話がクラスで出てきたけれど、葉山は答えませんでした。
そして、雪ノ下と葉山の間が噂になっているということも明らかになりました。
章題のとおり、一色が部室にいついてます。
そして、三浦から、葉山の進路を知りたいという暗号を一色が解いて、
とりあえず奉仕部で引き受けることになりました。

 

第3章のポイント
一色が奉仕部に預けていた荷物を生徒会室に運ぶとき「小町の躾によって俺のお兄ちゃんスキルはオートで発動してしまう。
 このアビリティ解除できないんだよなぁ・・・・・・。
 『あ、ありがとうございますー!
  そしたら生徒会室までお願いしていいですかー?』

 まぁ、仕方ない。雪ノ下と由比ヶ浜にひと言断ってから行こうと扉の前で振り返ると、
 二人ともぴたりと動きを止めて、段ボール箱を注視していた。
 

第4章 「それでも、三浦優美子は知りたいと思う。」
葉山に進路を聞くために待ちぶせしていた八幡、
偶然、葉山がモブキャラに告白されるシーンに出くわし、
葉山と話す。葉山は、煩わしいのは辞めてくれ、と返す。

三浦が奉仕部にきて、本音を漏らす。
「『近しい人、ってやつ。・・・・・・それになりたいから知りたいんじゃん』」

第4章のポイント
三浦の独白と感情を感じた八幡の感想
「きっと今のままではいられないことを知っていて、
 もっと先の未来を想っていても叶わないことを理解していて、
 口にすれば壊れてしまうのをわかっていて、
 けれど失いたくはないから。
 だから、せめて近くにいること。隣に居続けることを望む。」
 
第5章 「いつかその日まで、戸塚彩加は待っている。」
戸塚の話の前に、
マラソン大会の練習で、材木座と戸部と話す八幡。
戸部が、葉山から相談されることはないと悲しげに言う姿を認めつつ、
まぁ戸部だし、と片付ける八幡。戸塚の部長らしさを魅せつけられて面食らう。

 

第5章のポイント
「何でもいい、戸塚は戸塚だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

雪ノ下陽乃の登場シーンまとめ 7巻~10巻

 

oregairu.hatenablog.jp

これの続きです。

 

7巻の本編では、陽乃は出てきません。
修学旅行での戸部と海老名さんとの関係でした。

その後のおまけパートの、文化祭後の後夜祭から陽乃登場。

ストーリーには直接関係しませんが、
八幡にちょっかいを出す陽乃

もんじゃやきを、あーんしてくる陽乃とその周り

「まぁまぁ、いいじゃない。比企谷くん、頑張ってたんだし、
 これくらいはしてあげてもいいと思うよ。はい、比企谷くん、あーん」
【断っても断っても攻めてくるんですけどこの人。
 柔らかくていい匂いで困っちゃ、あ、ちょ、太もも触らないで、・・・・・・あふっ。】

八幡、弄ばれてます笑
そして、陽乃と小町を組み合わせると面倒なことになるということに気がつき始めた八幡。

兄弟の面倒見が良い二人だからこそ、共感点が似ているんでしょう。

 「あ、でもお姉さんの立場から言わせてもらうと、
 趣味はあったほうがいいと思うよ?」
「比企谷君はこれから先も一人寂しく生きていくんでしょう?
 だったら打ち込む趣味くらいあったほうがいいと思うよ」

 八幡をだんだんと貶めるようになっていく陽乃、
リア充という一般的でつまらない人と八幡が違うから、
からかい甲斐があるんでしょう。

 

修学旅行で、戸部と海老名さんの依頼を八幡がこなして、
雪ノ下と由比ヶ浜と、微妙な空気になったあと。
偶然、カフェで八幡と陽乃が出くわす(第8巻)

雪ノ下が実家にお土産を宅配便で届けたことに対して、陽乃の意見。
「嫌いだけど、嫌われたくはないのよね・・・・・・」

これは陽乃に対して?あるいは母親?
まだ、雪ノ下の心境は不明です・・・

 

そして、初登場、折本かおり。
折本とその友達が、陽乃と比企谷のペアを見つけて声をかけてきて、
話の流れで葉山を陽乃が紹介することになりました。

葉山は陽乃のことを
「あの人は興味がないものにはちょっかい出したりしないよ。
 ・・・・・・何もしないんだ。
 好きなものをかまいすぎて殺すか、嫌いなものを徹底的につぶすことしかしない」
そう評しました。

葉山は、陽乃に興味を持たれなかった、ということと思います。
そして、雪ノ下には興味があって、かまいすぎて殺してると言っているのでしょう。

 

折本とその友達が、葉山をデートに誘ったことを知り、
陽乃が八幡と電話することになったとき。
「『君はまるで理性の化け物だね』」
「なんすか、それ。そんなんじゃないですよ」
「『そっか。じゃあ、自意識の化け物だ』」

 

「『隼人が人に頭下げて頼み事なんてしないよ、普通』」
「『頭は下げないでしょ。あれで結構プライド高いから』」
「『来ないと、家まで迎えに行っちゃうからね!』」

陽乃は年上だからか、
葉山のことも八幡のことも良く見て、独断の評価を持っているようですね。

 

葉山と八幡のダブルデート?
葉山が雪ノ下、由比ヶ浜を連れてきて、
折本と仲町に対して、八幡をみくびるなと諌める。
そして、折本と仲町を追い返したあとに登場する陽乃。
雪ノ下が葉山に生徒会長選に出て欲しいと依頼しようとしていたことを知って、
「雪乃ちゃんが生徒会長をやるんじゃないんだ。
 てっきりそうすると思ってたのに」
「そうやって誰かにやらせたり押し付けるの、
 お母さんそっくり」
「ま、雪乃ちゃんはそれでいいかもね。
 あなたは、何もやらなくていいんだもの。
 いつも誰かがやってくれるんだもんね?」

 その様子を見たあとの八幡の感想、

「『単なるちょっかいにしちゃ手間かけすぎでしょ』
 これまでも陽乃さんは何かと雪ノ下に構ってきた。
 だが、今日のはそれと一線を画する。
 挑発と呼ぶには生ぬるいほどの攻撃性がそこにはあった。
 その理由が気になって聞いたものの、
 陽乃さんは可愛らしく小首を捻ってとぼけて見せる。」

 

陽乃は、雪ノ下に何をやらされて押し付けられてきたんでしょうね、
家庭の事情で、表に立つ役割が陽乃というのは、母の方針と言っていたので、
雪ノ下に押し付けられたことじゃないですし・・・

今後の展開の、進路の話とも絡んできそうです。

 

 

結局、一色を生徒会長に仕立てあげた八幡、
その後、部室で雪ノ下、由比ヶ浜と微妙な、建前的な関係が続き、
八幡の『それでも俺は、、、本物が欲しい』
につながります。

意外なことに、この流れに陽乃はいっさい絡んでいません。
陽乃がしらないところで3人の関係性が変わったところです。

そして、3人でクリスマスイベントを乗り越えて、、、

 

正月、初詣の次の日、由比ヶ浜と八幡が、
雪ノ下の誕生日プレゼントを買いにいったところで、
葉山と陽乃がお茶してるところに遭遇します。

葉山、陽乃、雪ノ下の3人で過ごした日々を振り返ったあと、
陽乃がこぼした言葉
「あのころは二人とも可愛かったのになぁ・・・・・・。
 今は・・・・・・、なーんかつまんない」
「まぁ、でも今は比企谷くんがいるしね。比企谷くんを可愛がればいっか」

陽乃にとって、葉山も雪ノ下も、陽乃の想定外の思想や思考を持っていないと、
そう揶揄しているように見えます。

たまには私の真似以外のこともしてみなさい?って感じでしょうか。

 

そして、雪ノ下母親登場。
雪ノ下を家族の会に連れて行こうとしたとき、

「雪ノ下は唇を噛んで下を向き、そしてちらっとこちらに視線を向けてくる。
 いや、こっちを見られても・・・・・。
 それを陽乃さんが見咎めた。
 『雪乃ちゃん、ダメだよ』」

陽乃は、雪ノ下が八幡に対して、
「信頼とかじゃない、もっとひどいなにか」
を持っていることを咎めました。

「もっとひどいなにか」、とは、依存心なのか、当てのない信仰なのか、
気になるところです。

 

そして、葉山の進路を聞く物語に入っていきます。

進路相談会に陽乃が現れたことをきっかけに、
雪ノ下が陽乃に葉山の進路の心当たりを聞いてみたところ、

「隼人の進路?なんだ、そんなこと」
「何か知っているの?」
「さぁ?興味ないから聞いたことないわ。どうせ決まってるだろうし」
「・・・・・・だいたい雪乃ちゃんならわたしに聞かなくたってわかるでしょ」
「わかっていたら姉さんに聞いてないわ」
「自分でよく考えなさい」

「一人でやるようになったと思ったら、また昔みたいに人に頼る。
 小っちゃい頃はそれも可愛かったんだけどねー。」

 

雪ノ下は昔、姉に頼りきりだったんでしょうか。
困ったら視線を泳がせて、誰かを見てしまう雪ノ下、
その対象が陽乃だったのは想像がつきます。
そして、今は八幡にその対象が移行していて、
その状況を陽乃は咎めてるんでしょう。

『自分で』何かをしない雪ノ下の成長を願っているようにも見えます。

 

そして、進路相談会の帰り道、陽乃と八幡の会話で、葉山の話が出てきます。
八幡が葉山に進路を直接聞いてみたけれど、はぐらかされた話をしたところ、
「そっか。隼人も期待してたんだね」
「見つけてくれることを、かな」

葉山の心情も陽乃は理解しているようです、
昔、陽乃自身も通った道なのでしょうか?

10巻のふしぶしに、太宰治人間失格を読み進める葉山(と思われる)の心情が
記されています。
お道化を演じる人間未満の心情に、寄り添いつつも一致しないことに、
苛立ちと失望を感じている、そんな雰囲気。

 

・・・・・今思ったのですが、この手記、陽乃の手記な気がしてきました。
最後の文、陽乃のセイフにもありましたしね・・・
「本物なんて、あるのだろうか。」
おためごかしのお道化を演じているという意味で、
陽乃と葉山の心情は近しいところがあるのかもしれませんね。

 

10巻の終わり、
葉山の進路の問題が片付いたあと、陽乃が八幡を呼びつけてデートします。
雪ノ下との関係への警告をするためでしょう。

雪ノ下から進路を聞いたと八幡が言ったところ、

「比企谷くんにはちゃんと教えたんだ。へぇ・・・・・・。
 雪乃ちゃんにずいぶん信頼されているんだね」
「・・・・・・信頼っていうか、そういうんじゃないでしょ、あれは」
「なーんだ、自分でわかってるんだ」
「そう、あれは信頼とかじゃないの。・・・・・・もっとひどい何か」
「何も変わってない。
 それでいいと思っているのよねー、あの子は。
 そこがまぁ可愛い所でもあるんだけど・・・・・・
 そこがすごく気に入らない。」

 

「信頼じゃないなら、・・・・・・なんなんですかね」
「さぁ?ただ、少なくとも・・・・・・」
「それを本物とは呼ばない・・・・・・、君の言葉だったね」
「本物なんて、あるのかな・・・・・・」

10巻終わり。

 

雪ノ下の成長を中心に、物語が進んでいっているとしたら、
陽乃の役割は、雪ノ下の未来にはなり得ません。

八幡も、成長せずにどこまでやっていけるのか、
一方的な信頼の押し付けあいなんていう人間関係の欺瞞に耐え切れるのか。

本物の関係なんてないとわかっていながらも、
本物を望んでしまう、現実をまだ諦めていない青春、
美しいし、潔癖的な思想だと思います。

 

陽乃も、一つの理想を抱えた人間のようですし、
八幡、雪ノ下と共に成長するのだと思います。
11巻でまた、陽乃は大活躍しますが、それはまたのちほど。
今後の話の展開に期待します。

雪ノ下陽乃の登場シーンまとめ 文化祭の終わりまで

雪ノ下陽乃、雪の下雪乃の姉で、能力で雪ノ下を凌駕し、
外面も完璧、高校生の考えなんてお見通しといわんばかりの、
完全超人の役割を演じてる人です。

陽乃の登場シーンは凄まじく物語の進行に影響しているので、
まとめてみようかと思います。

 

初登場シーン(第3巻)
由比ヶ浜と八幡の仲にすれ違いが生じた後、
由比ヶ浜の誕生日プレゼントを雪ノ下と八幡が買いに出かけたときでした。

クレーンゲームでパンダのパンさんを八幡が手に入れ、
雪ノ下に渡したとき
「あれー?雪乃ちゃん?あ、やっぱり雪乃ちゃんだ!」
と登場する陽乃。

そして、物語を一歩進める。
「一人暮らしのことだって、お母さんまだ怒ってるんだから」
「雪乃ちゃんがちゃんと考えてるならそれでいいんだ。
 余計なお世話だったかな。ごめんごめん。」

合宿帰りの雪ノ下を連れていくシーン(第4巻終わり)
「雪乃ちゃんてば夏休みはおうちに戻ってくるようにって言われてたのに
 全然返って来ないんだもん。心配して迎えに来ちゃった!」
由比ヶ浜と陽乃がはじめて知り合います。
陽乃は初対面から、由比ヶ浜と八幡の関係にしつこく釘をさします。
「えーっと、新キャラだねー。あなたは、・・・・・・、比企谷くんの彼女?」「あ、でも、比企谷くんに手を出しちゃだめだよ。それは雪乃ちゃんのだから」

そして、八幡に例のハイヤーを目撃させます。
これで、雪ノ下が、由比ヶ浜と八幡と連絡を取りづらくなります。

嘘はついていないけれど、本当のことを言わない雪ノ下を見せつけたから。

 

花火大会 有料エリア(第5巻)
ここで、雪ノ下がいない場面ではじめて、八幡と陽乃が話します。

由比ヶ浜と八幡がデート中。からかいを込めながらもまた由比ヶ浜を牽制。
「それはそうと・・・・・・。浮気は感心しませんなー」
・・・中略・・・
「じゃあ、本気か・・・・・・。なおさら許せませんなー」

 

雪ノ下の家庭の事情とやらも、少し明らかに。
「こういう場に出るのは長女であるわたし。昔から母の方針なの。」
「あのね、うちって母が強くて怖いんだよー」
「雪乃ちゃんが?怖い?」
「もう、失礼だなぁ、比企谷君は。あんな可愛い子をそんなふうに思ってたのー?」
「母はわたしより怖いよ」
「何が何でも決めて従わせようとする人だから、
 こっちが折り合いをつけるしかないんだけど・・・・・・、
 雪乃ちゃん、そういうのへたっぴだから」
「だから少し意外だったんだよ。
 高校入学してから一人暮らししたいって言い出したのは。」
「母は最後まで反対していたし、今も認めていないんだろうけど・・・・・・」

雪ノ下の過去についても、少しだけ。
由比ヶ浜とのデートだったのかと確認したあと、
「ふぅん・・・・・・。その照れ方は怪しいなー。けど、もしデートだったんなら・・・・・・」
「・・・・・・雪乃ちゃんは、また選ばれないんだね」

 

 雪ノ下が陽乃をいつも追っていることも明らかに
「――ああ。雪乃ちゃん、国公立理系志望なんだ・・・・・・」
「昔から変わらないなぁ・・・・・・。お揃いで、お下がりで・・・・・・」
「わたしは雪乃ちゃんのこと大好きだよ」
「ずーっとわたしのあとを追いかけてくる妹のことが可愛くないわけないよ」

 

そして物語の核心へ。
ハイヤーを見せて、
「そんなに探しても見えるところに傷なんて残ってないよ」
「あ、あれ?雪乃ちゃんに聞いてなかったんだ。
 悪いことしちゃったかなぁ・・・・・・」
「あ、でも勘違いしないでね。雪乃ちゃんが悪いわけじゃないんだから」
「あの子はただ乗っていただけだし、何一つ悪いことはしていない。
 それでいいよね、比企谷くん?」

 

ほんと陽乃さん、良いキャラですね。
雪ノ下をずっと見てきた愛情も垣間見えて、
また、「家庭の事情」で表に出ざるをえない陽乃が、
雪ノ下の立場に少しばかり嫉妬しつつ、
それでも雪の下が追ってくるから常に叩き潰してきたようにも感じられます。

 

そして文化祭実行委員の場面へ(第6巻)
「姉さん、何をしに来たの?」
「やだなー、わたし有志団体募集のお知らせ受けたから来たんだって。
 管弦楽部OGとしてね」
「可愛い妹、雪乃ちゃんのためにしてあげられることはしてあげたいんだよ~」
「ふざけないで。・・・・・・だいたい姉さんが」
「私が?何?」
「・・・・・・また、そうやって」
(わたしの居場所を奪っていく)

括弧書きは僕の妄想の第1候補です。
『また』という言葉から、何度も「なにか」があったんでしょう。
「なにか」の第2候補としては、
(わたしを負けさせる)
というのも考えました。
雪の下は陽乃に追いつきたい、勝ちたいと願い、
文化祭副委員長の立場になったのだとしたら、
常勝の陽乃が、雪ノ下の勝ちたいという願いを叩き潰そうとした。
そういった構図です。

でも、居場所を探して陽乃の真似をする雪ノ下だから、
陽乃に居場所を奪われるのを避けたい気持ちが強いと考え、
第2候補としました。

 

葉山と陽乃の関係も出てきます。
「どうしたの?」
「有志で管弦楽でもやろうかと思ってさ、
 OB、OG集めたら面白いかなって。
 楽しそうじゃない?」
「またそうやって思いつきで行動する・・・・・・」

 

そして、八幡との会話・・・
八幡とはいつも濃い話をしています。

「ちゃんと働いているかい。青少年」
「ちょっと意外だな。お姉さん、比企谷くんはこういうことしない子だと思ってたよ」
「だって、部活には居づらくなってるだろうし、
 姉の私が昔、実行委員長をやっていたんだもん。
 あの子がやろうと思う理由には充分よ」

雪ノ下の状況をよく見てます。
その行動心理ですら見透かしたような。
怖い面を全面に押し出してきますね。

 

スローガンを決める会議での八幡の案とその感想
「『人 ~よく見たら片方楽してる文化祭~』とか」
「あっははははははっ!バカだ、バカがいる!もう最っ高!ひ、ひぃ~、
 あー。ダメだお腹痛い」

 

その後の八幡との会話
「やぁやぁ、しっかり働いているかね?」
「あー、・・・・・・しっかりとは働いてないみたいだね」
「あら、不満顔。
 ・・・・・・だってさ、この議事録には比企谷くんの功績が入っていないじゃない」
「比企谷くん?ここでクイズです!
 集団をもっとも団結させる存在はなんでしょ~?」
「正解はね、・・・・・・明確な敵の存在だよ」
「ま、敵がちょーっと小物だけど」
「いいんだよ。君みたいな悪者がちゃんとやってるならそれはそれで
 対抗心がでるでしょ。
 それに、敵がしっかりしてないと成長もないからね。
 争いこそが技術を発展させるのであ~る」
「お姉さん、勘のいいガキは嫌いよ?」

 

八幡が、陽乃の雪の下に対する態度に仮説を設けるようになりました。
陽乃は雪ノ下の敵であり続けるために振る舞っているんじゃないかという。

最も雪の下を見ていて、最も雪の下の成長を願っているのは、
陽乃なんじゃないでしょうか。

 

そして文化祭当日。相模を探すための時間を作るため、
雪の下が初めて陽乃に「手伝って!」と頼みます。

「へぇ・・・・・・、いいよ。
 雪乃ちゃんが私にちゃんとお願いするなんて初めてだし、
 今回はそのお願い聞いてあげる」

「ちゃんとお願い」って、どういうことでしょう。
雪の下がずっと暗に要求し続けたお願いを、
陽乃は叶えてきたのでしょうか。
おそらく家庭の事情と関係した言い回しと思いますが、
これ以上は読み取れません・・・。

 

お願いしてくる雪ノ下の変化を陽乃が認識したとき。
「・・・・・・雪乃ちゃん、成長したのね」
「いいえ・・・・・・私はもともとこういう人間よ。
 一七年一緒にいて見てこなかったの?」
その会話を見た八幡が思ったこと↓
【――ああ、まったくそうだ。雪ノ下雪乃って奴はこういう人間なんだ】

 

時間稼ぎのための、ステージで歌う曲を決めるときに、
雪ノ下が陽乃を追っていたこと、
今はもう追わずに決別したことを表明します。
「ぶっつけ本番でいくのだから、
 私たちができるものをやるしかないでしょう。
 昔、姉さんが文化祭でやった曲。今もできる?」
「誰にものを言っているのかな?雪乃ちゃんこそ、できるの?」
「私は、姉さんが今までやってきたことなら大抵のことはできるのよ」

 

文化祭が終わったあとの、最後に陽乃が棘を残して帰ります。
「はいはい。帰りますよ。じゃ、またね。楽しかったよ。
 今日のこと、お母さんに話したら驚くだろうなぁ・・・・・・、ね?」

母親との関係はまだまだ見えませんね。。。

俺ガイル11巻の感想

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。11 (ガガガ文庫)

 

 

6月24日発売ということで、
さっそく昨日買って2回読み終えました。

もうね、、、

この巻はほんと最高・・・

 

ネタバレするには早いと思いますが、
アニメでもやってる部分ならいいよね?

 

というわけで、以下ネタバレを若干含みながらの感想です。
完全な私見ですが。

 

舞台はバレンタインデーのちょっと前から後まで。

バレンタインデーというイベントのせいで、
部室の雰囲気が変わります。
関係を一歩踏み込むかどうか、
嘘や欺瞞に満ちた空間となってしまった部室。

気に入ってしまった空間を壊したくないと願いながらも、
本物じゃないと自覚して、ならば本物は・・・?
といった答えを探す八幡。

そんな思考経路をたどりながら、
雪ノ下、由比ヶ浜の心境にも、
一歩、また一歩と踏み込んだストーリーでした。

冗談で済まされるほどの気持ちは3人とも持っていないから、
だからこそ、冗談や言い訳で、なんとか関係性の体裁を整えていた。

でも、そんなのは、欲しい関係じゃない。

だからこそ、思いをぶつける覚悟をして、
決めた由比ヶ浜

その真の優しさに応えようとする八幡。

アイデンティティ・クライシスに陥ったけど、
自分を手に入れようと立ち上がる雪ノ下。

 

相互の思いは別々だけれど、
それでも交われる奇跡を信じれる、
そんなストーリーでした。

 

あと、陽乃さん、ほんと憧れます。
平塚先生が、先生として生徒を導くのと同様に、
陽乃さんは、歳の近い姉貴として、彼らが間違わないように、
誤りを訂正しようとしてくれます。


平塚先生と陽乃さんの会話も楽しく、
陽乃にもやはり家庭の事情が影響しているなぁ、
といったサブストーリーにも想像が働きます。

人それぞれ、大切に思う関係が違う、
それでいいと思いますが、
関係が違ったとしても深く付き合えるような、
そんな関係を妄想してしまいました。

次巻が楽しみ過ぎます!!

比企谷八幡から見た雪ノ下雪乃 第4巻~第5巻

ここから、物語の深淵に入っていきます。

今までに八幡がみてきた雪ノ下

・辛辣で正直。嘘をつかない。
・負けず嫌い。勝負ごとに積極的で、相手を叩き潰す。
・猫が好き、犬が苦手
・陽乃にだけは屈する
・「家庭の事情」がありそうだ。

といった感じです。

4巻のイベント、夏休みの奉仕部合宿から~

「どうも雪の下は葉山に対して刺がある。
 俺に対してもトゲトゲだが、それは攻撃的な刺だ。
 葉山への刺は排他的なものを感じる。
 リア充アレルギーかなんかだろうか。
 いえね、実は俺もリア充なんですよ。
 抗ヒスタミン剤で効くだろうか。」

葉山と雪ノ下の関係性に少し疑問を持ち始める八幡。

 

鶴見留美が生意気な口調で八幡の名前を尋ねた時の雪の下の対応にも少し意味がありそう。

「雪ノ下の視線が危険なほどに鋭い。
 下手すれば今までで一番怖かったかもしれない。
 睨む、というよりは射殺すといったほうがより性格だろう。
 子供相手といえど手心を加えるつもりはないらしい。
 むしろ、普段の雪の下より苛烈な印象を与える。
 あまり子供が好きじゃないのかもしれない。」

これは、雪の下が過去の自分と留美を重ねたんでしょう。
過去の自分自身を認められないから、という特殊でありきたりな精神を
雪ノ下も持っていることを示していると思います。

八幡の感想も同じく、
「もしかしたら、雪の下は過去の自分の面影をそこに見出しているのかもしれない。」
と後に思ってるし。

 

その夜、八幡と雪ノ下が互いに部屋に居づらくなって、
外でばったり会ったとき。
雪の下が初めて葉山との関係を語る。
幼なじみで一緒の小学校だったと。
雪の下が初めて、他人を交えた自分語りをしたところだと思います。

 

第4巻のラストシーン
合宿から戻ってきた雪ノ下が、ハイヤーで現れた陽乃さんに連れて行かれます。
由比ヶ浜と八幡が、そのハイヤーに見覚えがあることに気が付きます・・・

 

第5巻の始まり
「俺は雪ノ下のことを、知らない
 無論表層的なことは知っている。
 名前とか顔とか成績がいいこととか人を寄せつけないことや
 猫とパンさんが好きなこととか口が悪くて結構抜けてることとか。
 けど、そんなもんだ。
 その程度で人を知った気になってはいけない。
 周囲の人間が俺を理解しないのと同様、
 俺もまた周囲を理解してはいない。
 それを忘れてはいけない。
 いったい何をもって、『知る』と呼ぶべきなのか―。」

「梅雨の晴れ間。罪科のように赤い夕映えを背に、
 寂しげな微笑みを浮かべた少女。
 あのとき、彼女は確かに一線を引いたはずだ。
 被害者同士である俺たちと、自分とは違うのだと。
 その境界線がなんだったのか。
 今ようやくわかり始めている。」

事故のことをだまっていた雪ノ下のことが、
わからなくなってきた八幡ですね。
正直だと思っていた雪ノ下に、勝手に期待して裏切られたと思う気持ち・・・

 

塾で川崎に話しかけられ、雪ノ下も塾に来ていたと知らされた八幡。
川崎から、雪ノ下へのお礼を言っといてくれと言われて、
「川崎の攻撃性はうまくコミュニケーションを取れないが故の裏返しだと俺は感じる
 ・・・・・・
 一方の雪の下はそもそも攻撃する気がない。
 ただ彼女の存在自体がある種の攻撃なのだ。
 優れた存在は眩しい。劣等感や嫉妬心を呼び起こす。
 それがために官女の周囲には断絶が生まれ、悪意が向けられる。
 そして厄介なことにその悪意に対しては徹底的に立ち向かい、
 叩き潰すのが雪ノ下なのだ。
 川崎の行動が予防線としての威嚇ならば、
 雪ノ下の行動は常に絶対の報復である。」

八幡は、雪ノ下をわかろうと考えてるけれど、
感情の部分の理解にまでは至らない、そんな感じですね。

 

戸塚と材木座の登場。
雪ノ下へのそれぞれの評価を八幡が聞くシーン。

戸塚「真面目で真剣だから怖く感じるのかもね」
材木座「正直すぎて怖いというのもあるな。
    どんなことを言われるかわかったものではない」

 

花火大会で陽乃と会ったとき、雪ノ下と母親の関係を聞く。
「『母がなんでも決めて従わせようとする人だから、
  こっちが折り合いをつけるしかないんだけど・・・・・・、
  雪乃ちゃん、そういうのへたっぴだから。』
 へたっぴってレベルじゃねぇだろ、あれ。
 へたへたへたっぴとか重複して強調したほうがいい。」
「なにか」と折り合いをつけるのが下手な雪の下と八幡は似ていますね。
現実との折り合いの付け方が不器用とも言えます。

 

でも、現実がつきつけられます。
ハイヤーの前に立ったとき、陽乃が八幡と由比ヶ浜に告げ口してしてしまったとき。

「『あ、でも勘違いしないでね。雪乃ちゃんが悪いわけじゃないんだから』
 それは、・・・・・・わかっている。
 今まで雪ノ下が悪かったことなんてない。
 常に正しくあろうとするのが雪ノ下雪乃なのだから。」

「それは、」の後の「・・・」に、八幡の理性が働いて、
感情に相容れない合理的な結論を得ようとしているように見えます。

雪ノ下が持つ現実との折り合いを上手く付けられない、そんな八幡に見えます。

 

由比ヶ浜との話の中で。雪の下に由比ヶ浜が踏み込みたいと告げたとき、
由比ヶ浜との考え方の差異を発見する。

「俺に踏み込む気はないから。これまでもこれからもけして踏み込まない。」

 

5巻のラスト、雪ノ下を知る人達から聞いた、雪ノ下の人格像のイメージを反芻し、
導いた八幡の雪ノ下に対するイメージ。
「常に美しく、誠実で、嘘を吐かず、
 ともすれば余計なことさえ歯切れよく言ってのける。
 寄る辺がなくともその足で立ち続ける。
 そんな姿に。凍てつく青い炎のように美しく、
 悲しいまでに儚い立ち姿に。
 そんな雪ノ下雪乃に。
 きっと俺は、憧れていたのだ。」

そして、ラストシーン
「――雪ノ下雪乃ですら嘘をつく。
 そんなことは当たり前なのに、そのことを許容できない自分が、俺は嫌いだ。」

 

勝手に期待して、勝手に裏切られた気分になった自分に苛立つ八幡、
何も知らない人を嫌いになるのには抵抗がない。
でも、期待した自分がいたから、その期待に応えない相手を貶める。
そんな期待をしてしまった自分を含めて。

いや、、、しびれますね。。。
期待に応えない相手を貶めてしまうと同時に、
勝手に期待した自分が悪いと、圧倒的な自己責任論を振りかざす八幡。
ほんと共感しちゃうわ・・・

 

いよいよ第6巻からは文化祭イベントになります。
雪ノ下の現実を八幡はどう見るのか。折り合いは付けれるのか。
自分で整理していてハラハラします笑

 

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 (ガガガ文庫)

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。5 (ガガガ文庫)

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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。〈6〉 (ガガガ文庫)

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比企谷八幡から見た雪ノ下雪乃 第3巻

2巻の終わりに、由比ヶ浜の優しさを拒絶した八幡。
由比ヶ浜が部活に顔を出さなくなった状態のとき。

「俺と雪ノ下は距離感の取り方がたぶん似ている。
 世間話や一つの題材についてであれば話したりするが、
 個人のプライベートに触れることはかなり稀だ。」

「立ち入ったことを聞かず、決して踏み込まず、
 これはこれで剣の達人同士の間合いの測り合いのようだった。」

八幡は人間関係の距離感が雪ノ下と似ていると感じていて、
一方で由比ヶ浜のことは似てないゆえに理解できずにあきらめている。

 

由比ヶ浜を部活に引き戻すよう、暗に平塚先生に指導されたあとの雪ノ下のセイフと
八幡の感想。
「『・・・・・・つい最近気付いたのだけれど、
  私はこの二か月間をそれなりに気に入ってるのよ』」
 『・・・・・・・・・・・・』
 俺はぽけーっと口を開けていたに違いない。
 雪ノ下がこんなことを口にするなんて・・・・・・。」

人間に辛辣なコメントしかしてこなかった雪ノ下だからこそ、
雪の下が好きな人間関係を聞けたことにびっくりしたんだと思います。


東京わんにゃんショーの会場に八幡と小町がいった際、
偶然雪ノ下と遭遇したときの会話の切り上げかた。
「雪ノ下と言い争って得られるのは傷とかやけどとかだけなので
 さくっと切り上げて先を目指すことにした。」
言い返しても開き直ったり、傷を認めたりするようになってますね。

 

東京わんにゃんショーに八幡と雪ノ下が二人でいるところに
ばったり会った由比ヶ浜に、二人が付き合ってるんだと誤解され、
あまり話を聞きたくないと言われたあと。

「アレな性格の上、スペックの高さから常に嫉妬の炎に晒され続けてきた
 雪ノ下にとって、由比ヶ浜は初めてできた友達に違いない。
 感謝しているという言葉に嘘はないと思う。
 言葉の端々に諦めが滲んでいながらも、
 その友情を失いたくないと思っているのだろう。」

 

由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買いに、
八幡と小町と雪ノ下が一緒にショッピング。
八幡が店員さんから警戒されるため、
離れて雪ノ下にプレゼント選びを任せようとしたとき。
「『私のセンスに任せるつもり?
  自慢ではないけれど、私は一般の女子高生と離れた価値基準を持っているのよ』
 『自覚はあったんだな・・・』
 まぁ、真っ先に工具セットをプレゼントに思いつく女だしな。」

 

雪の下が、恋人のように振る舞うことを許可したときの八幡の反応。
「雪ノ下が俺のクズさに全幅の信頼を寄せているように、
 俺もまたこいつとどうこうならないことに関してだけは絶対の自信を持っている。
 これはこれで信頼と呼べるのかもしれない。」

ただし、雪ノ下の反応は微妙。
「『何か不満でも?』
 『別に不満はねぇよ』
 『そ、そう・・・・・・』」
 雪ノ下が拍子抜けしたように素で驚いた顔を見せる。」
雪ノ下がエプロンを付けて、八幡に感想を求めたとき。
「『どうっていわれてもなあ・・・・・・すげぇよく似合ってるとしか』」
と言った後、
「雪の下はこちらを見ずに、姿見のほうを向いて肩口やヒモ、
 裾を気にしていた。今、雪の下がどんな顔をしているか知っているのは、
 鑑と本人だけだ。」
と、雪の下が意味深に顔を背けているようにも聞こえるような態度を、
八幡は見ています。

 

クレーンゲームのパンダのパンさんのぬいぐるみを手に入れた雪ノ下の態度。
「そんなふうに大事そうに抱きかかえられちまったら返せなんて言えねぇよ。
 可愛いところもあるじゃねぇの。もっと冷血だと思ってたぜ。
 と、俺が微笑み混じりで見ていたのに気づいたんだろう。
 少し照れたように顔を背ける雪ノ下、その頬がわずかに朱に染まっている。」

 

初めての雪ノ下陽乃登場シーン。
雪ノ下が誰かに屈するのを初めて八幡が目撃するシーンでもあります。
「正面を向けず、地面に向かって話すように雪ノ下はしゃべる。
 いつだって真っ向から立ち向かってきた雪ノ下雪乃が。
 誰にも屈せず下を向いたことなどない雪ノ下雪乃が。
 それは俺にとって軽く衝撃を受ける光景だった。
 一人で勝手に落ち込むようなところはある奴だが、
 誰かと相対して膝を追った姿など見たことがない。」

 

陽乃の外面を見抜いた八幡の理由の一つ。
「『それにさ、お前と顔が似てるのに、笑った顔が全然違うだろ』
 俺は本物の笑顔を知っている。
 媚びたり、騙したり、誤魔化したりしない、本物を。」

八幡、よく人を見てますね。
雪ノ下に対する本物も、ここで初めて明示したのだと思います。

 

ショッピングの帰り
「俺から雪ノ下に何かを聞くこともないし、
 雪の下が俺に何かを話す素振りもない。
 たぶん、聞くべきこと話すべきことはあるんだろう。
 だが、お互いに踏み込まない、いつもの俺たちの距離感を選んだ。
 それこそただ電車で隣に座った人同士のような無機質な時間が過ぎる。」

雪ノ下の家庭の事業を八幡は垣間見たけれど、
その家庭の事情を聞かないし、雪の下も話さない、ということでしょう。


由比ヶ浜の誕生日を部室で祝おうという段階、
八幡も由比ヶ浜にプレゼントを用意したことを、
わざわざ雪の下が言明した。
「わざわざあいつが俺に水を向けるということは、
 何かがあったことにはちゃんと気づいていて、
 さっさとそれを解決しろということなんだろう。
 普段まったく優しくないのに変なところでおせっかいだよな、あいつ。」

 

3巻のおわり。
雪ノ下は、気まずい雰囲気の八幡と由比ヶ浜二人を諭します。
一旦関係を終わりにしたとしても、

「『あなたたちは助けた助けられたの違いはあっても等しく被害者なのでしょう?
  なら、すべての原因は加害者に求められるべきじゃない。だったら・・・・・・。』」
「『ちゃんと始めることだってできるわ。・・・・・・あなたたちは』」

といい、うまいこと言いくるめます。
また、加害者を省くことは、事故の件に雪ノ下も絡んでいることを、
話すきっかけのフラグを建てよう、という雪の下の心がけのように感じます。